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課題は明確すぎるほど明確。製造業に“実行力”をもたらした伴走型支援プロジェクト
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Dialogue | File 004
2026.08.02
Manufacturing
課題は明確すぎるほど明確。製造業に“実行力”をもたらした伴走型支援プロジェクト
シバタ工業株式会社 取締役 経営企画室室長 柴田友喜さんと

ゴム素材を基礎とした、「安全・防災・環境」に役立つ商品を製造・販売するシバタ工業株式会社。柴田友喜さんは5年前同社に入社し、経営企画室長として、長年ファミリービジネスとして歩んできた同社へ改革をもたらそうとしています。

入社から今に至るまで、柴田さんは「経営方針を体現できない」という歯がゆさを痛感していると語ります。課題は明確すぎるほどわかっている。ToDoリストも数多くある。しかし、それを実行に移すリソースもシステムも、社内には整っていなかったのです。

そこで、Biz Architectsが取り組んだのは、「原価管理ロジックの構築」、「人事評価制度の改訂」、そして「広報のプロジェクトマネジメント」という性質の異なる3つのプロジェクトでした。

これらプロジェクトは、一体どんな成果をもたらし、どのようにシバタ工業のあり方を変えたのか。Biz Architects代表取締役社長の大江真揮人、執行役員/プリンシパルの岡優太を交え、伴走型支援のリアルをお話しいただきました。

まずは原価から。4ヶ月で完成し、収益性まで改善した管理ロジック

――柴田さんは約5年前にシバタ工業株式会社(以下、シバタ工業)に入社されたそうですね。現在はどのようなお仕事をされているんですか?

柴田:経営企画室長という肩書きではありますが、実際のところはCOO(Chief Operating Officer/最高執行責任者)です。オペレーション全般から情報システム、人事など、経営に関わるすべての部門を管轄しながら、目先の課題と中長期の課題に向き合っています。
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――具体的にはどのようなことを課題と捉えていたのでしょう?

柴田:僕が入社したタイミングで一番強く思ったのは「社長の言ってることは正しい。でも、それを誰も体現できない」ということでした。Biz Architectsさんにお願いした原価改善にしても、人事制度改訂にしても、広報にしても、あらゆることへの“実行力”が足りていなかったんです。なので、課題は明確すぎるぐらい明確。どうにかしないといけないものが積み上がっている状態でした。

大江:僕の経験上、これは「ファミリービジネスあるある」なんですよ。経営方針は打ち立てられるし、いい意味でのこだわりもある。でも、リソースの問題からそれを担える人がいない。柴田さんもまさにこのパターンでしたよね。

柴田:そうなんです。溜まったToDoリストをとにかく捌かなきゃいけなくて……。

大江:なので、僕らも柴田さんと一緒にToDoを解消することを意識しています。
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――一般的なコンサルティングとは異なり、Biz Architectsには「実行役」を期待していたんですね。ちなみに、これまでほかのコンサルティング会社と手を組んだことはあったのでしょうか?

柴田:僕が知る限りでは、初めてです。うちの会社、基本的には内製化してきたんですよ。そもそも父が「コミュニケーションを考えると、内製化したほうがいいよね」という考え方を持っていたので。

ただ、内製化するためのマネジメントスキルがうちにはなかったのも事実。だから、ちゃんとアウトソーシングすべきだとは前々から思っていました。それで、機をうかがっていたときに、Biz Architectsさんがちょうどよく現れて。

大江:前例がなかったのに、よく稟議が通りましたね。

柴田:「今しかない!」って押し通しました(笑)。

――Biz Architectsに最初にお願いしたテーマはなんでしたか?

柴田:原価率の改善と、原価算定方法のロジック見直しです。僕らは製造業なので、常に売価とコスト、固定費と変動費を見ないといけないんですが、正直、原価に関しては把握しきれていなかったところがありました。まずはそこを一緒に改善してほしいというお願いをしたんです。

それで、Biz Architectsさんと一緒に蓋を開けてみたら、案の定、赤字ではないものの薄利だということがわかって。利益率を上げるためにはコストカットやお客様への売価アップが必須なので、そのロジックを組み立てていただきました。

――製造業の根幹にある課題ですね。どれくらいの期間で、どのようなアウトプットがあったのでしょう。

大江:期間はだいたい4ヶ月くらいですね。

柴田:原価率を管理するExcelファイルをつくっていただいたんですが、納品が速すぎてびっくりしました。社員もみんな「マジか」みたいな反応で。そのファイルは、今でも社内で大活躍してますし、実際に1年で収益性が改善された事例も出てきています。

大江:ありがとうございます。柴田さんと初めてご一緒したので、そう言っていただけて嬉しかったです。そのあとすぐに取り掛かったのが人事評価制度の改訂という、これまた会社にとってクリティカルなプロジェクトでした。

酷な内容を、どう温かく伝える? 年功序列を脱した人事評価制度の改訂

――人事評価制度改訂プロジェクトは、岡さんが中心になって進めたそうですね。柴田さんはどのような課題感を持っていたのでしょう?

柴田:弊社は長年、年功序列型の人事評価制度を保ち続けていたんです。でも僕は、成果に応じて報酬を支払う形に改革したいと考えていました。

岡:そのためにはまず、評価の基準を変えなきゃいけないし、最終的に給与ランクにも反映させていかなくてはなりません。細部の調整が必要になる中で、柴田さんメインで理想を組み立ててもらいながら、僕たちは裏側のロジックづくりの部分でお手伝いさせていただきました。
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――なぜ人事制度の改革が必要だと感じたんですか?

柴田:一言じゃ語れないくらい、ありすぎて……。毎年の査定しかり、配置転換しかり、人事制度が脆弱であるがゆえの弊害が出ていたんです。目先のことばかりじゃなく、今後5年、10年通用する骨子をつくらないと、日々の業務の話すらまともにできないし、権限委譲もできないような状況でした。そこにものすごい危機感がありました。

――全従業員の給与を左右するセンシティブな内容ですが、社内にはどのようにコミュニケーションを取っていきましたか?

大江:簡単に言えば「ちゃんと価値を発揮する人の給料を上げます。以上!」なんですけど、酷な内容ではあるのも確かです。いかに納得感あるように、柔らかく、温かく伝えていくのかが最も難しかったのですが、岡の経験が活きたと感じています。

岡:それに、柴田さんにもかなりご助言いただきました。他のプロジェクトで磨いた知見をもとに報酬テーブルのドラフト案をお持ちしたところ、柴田さんからすぐ「普通の企業はこんなに高くないですよ」とフィードバックをいただいて。そこから壁打ちを繰り返しながら形にしていきました。

ただ、プロジェクトを進めるにあたって、シバタ工業の社員さんともお話しさせていただいていたので、「この人たちのことを思うと機械的な表現はできない」と常々思っていました。どうすればマイナスではなくプラスなことだと伝えられるか、表現の一つひとつに気を配りましたし、柴田さんと何度も膝を突き合わせながら、評価基準や給与テーブルにも組み込んでいきましたね。
柴田:僕自身、世の中の人事評価制度はこうやって出来上がっていくんだと勉強になりましたね。もちろん、嫌味を言われることもありましたけど、役員・社員向けにしっかりと説明できました。
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実際に、社員の皆様向けに発表した資料の1ページを抜粋

――苦悩がありながらも着地したんですね。実際のところ、「改訂してよかった」と感じていますか?

柴田:今年の1月に新しい制度に移行し、来月からいよいよ賃金の改訂が始まるという段階なので、実感するのはこれからになりますね。社員一人ひとりの機会創出できる土壌は整ったので、今後は彼らがそれに取り組む中で、どうサポートできるかが大事になってくると思います。

岡:今後の動向も追いかけていきたいですね。

楽だから、まとめて頼む。外注の“広報部長”が生まれた理由

――今現在は、広報領域でのプロジェクトも進行中だと伺いました。

柴田:広報業務全般のプロジェクトマネジメントと実制作をお願いしています。元々は社内の広報チームが動いてくれていたんですが、スタッフの離脱などもあって、正直なところ、なかなか手が回っていなかったんです。弊社は展示会への出展も多いのですが、「準備が全然進まない! どうしよう?」となっていたところに岡さんが入ってくださいました。そこから、内製化ではなくBiz Architectsさんに入ってもらう形にシフトチェンジしたんです。

――広報だと、一般的にはPR会社にお願いすることが多いですよね。ほかにもさまざまな選択肢があった中で、どうしてBiz Architectsにお願いされたんですか?

柴田:楽だから。本当に、その一言に尽きるんです。PR会社さんもプランニングはしてくれますが、結局それをどうするかは、僕たちが裁量持って決めなければなりません。でも、今はその判断を行える人すらもいない。採用するにも時間とコストがかかるから、困っていました。

一方でBiz Architectsさんは、極端な言い方をすれば仕事を“丸投げ”できる。それが、今の僕たちにとってはすごくありがたいんですよね。

――岡さんはどんな業務を担当されていますか?

岡:上司である柴田さんと、ほかの社員の方々との間を取り持ちながら業務を進めています。展示会準備の進行はもちろん、社内に掲示するポスター制作なんかも担当させていただいていて。今後もカタログや営業資料の整備、コーポレートサイトのリニューアルなども行う予定です。やることが多いので、毎日ものすごい量のメールが届いています(笑)。
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――単なる代行業務ではなく、社内に入り込んで、ひとつのピースとして機能しているんですね。「外注の広報部長」というか。

柴田:まさにそうです。他社さんにはなかなかお願いできないので、助かっています。

岡:私自身、広報業務を行う中でどんどん商品への理解が進んでいって。シバタ工業さんは同一商品でも、小学生向けのイベントから自衛隊隊員向けの展示会まで、さまざまなアプローチでプロモートしていくんですよ。それがすごく面白い。

大江:僕たちはずっと伴走してきたから、柴田さんが考えるPR戦略や、その背景にあるものも理解できるんです。そうした企業理解の深さに、岡のプロジェクトマネジメント力が組み合わさっていることが我々の強みだと思っています。

自社だけじゃなく、製造業界全体を活性化していきたい

――柴田さんご自身は今後、シバタ工業をどのような会社にしていきたいですか?

柴田:僕は社員のみなさんに、「シバタ工業に入ってよかった」と言ってもらえるような会社にしたいと常々思っています。その満足感は、なにも賃金だけじゃなく、仕事での経験や文化、日々のコミュニケーションで培われますよね。だからこそ、生産改善をはじめ、必要な改革はどんどん行っていきたいんです。

それに、50年後、100年後のことを考えられるのは、オーナー家特有の視点だとも感じています。我々のようなニッチな製造業においては、自社だけじゃなく業界全体の活性化も大事なので、事業の持続可能性もしっかり追求していきたいですね。ToDoリストはまだまだ山積みです。
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――Biz Architectsとしては、今後どういった形でシバタ工業さんとご一緒していきたいですか?

大江:実は、今日お話しした内容のほかに、2つほどプロジェクトをご一緒させていただいているんです。ひとつは営業部の方に対する人材育成。ノウハウを体系化し、論理的思考力をさらに伸ばすためのお手伝いをしています。もうひとつが、営業さんがお客様から見積もり依頼を受けた際に、迅速に運賃などの他の費用水準を把握し、すぐにお返事できるようなシステムの構築。これも、柴田さんのToDoの中にあったものです。

岡:柴田さんも現場の方もお忙しいと思うので、みなさんがきちんとお仕事に集中できるように、我々は痒いところに手が届く存在であり続けたいですね。僕自身も、そこに一番のやりがいを感じます。属人的な部分をうまく体系化・システマチックにしながら、これからもシバタ工業さんの発展に貢献したいと思います。
対談のお相手
柴田友喜(しばたゆうき)さん
シバタ工業株式会社 取締役 経営企画室室長。関西学院大学社会学部を卒業後、カナダ・オンタリオ州ロンドンに留学。2022年にシバタ工業へ入社後、同年4月に風土改革を目的として、企画室を設立。翌年には経営企画室も設立し、同社経営改善の立案から実現までを手がける。2025年に現職に就任し、同社の持続的な成長と企業価値向上に取り組む。

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