はじめに
こんにちは、講師の岡です。
「このイシューって何でしたっけ?」
「ここ、もう少しブレイクダウンできますか?」
「一度レビューに出しておいてください」
コンサルティングの現場では、独特の言葉が飛び交います。
しかも、ちょっと厄介なのが、どれも何となく意味がわかってしまうこと。
「イシュー=課題かな」
「ブレイクダウン=細かくすることかな」
——このくらいの理解でも、会話自体はなんとなく成立してしまいます。
しかし、実際には用語を正しく理解しているかどうかが、仕事の進め方そのものに影響します。
そこで今回は、コンサルティングの現場で特によく使われる用語を10個に絞って解説します。
「聞いたことはあるけど、実はよくわかっていない」
そんな言葉があれば、ぜひこの機会に整理してみてください。

① イシュー(Issue)
「問題」「論点」「課題」などと訳されるイシュー。
コンサルティングでは、単なる問題ではなく、「今、答えを出すべき重要な問い」という意味で使われます。
例えば、「売上が落ちている」は現象です。
そこから、
「売上減少の最大要因は、新規顧客数の減少なのか?」
と問いを立てる。
これがイシューです。
コンサルでは、「何を明らかにすれば、意思決定できるのか」を考えることが重要。
そのため、「今回のイシューは何ですか?」という会話が頻繁に出てきます。
② ブレイクダウン(Breakdown)
ブレイクダウンとは、大きな物事を、より小さな要素に分解することです。
例えば「売上」を、
売上 = 顧客数 × 顧客単価
と分解する。
さらに顧客数を「新規顧客」と「既存顧客」に分ける。
このように分解することで、
「結局、どこを改善すればいいのか?」
が見えやすくなります。
コンサルでは、
「この数字をもう少しブレイクダウンしてみて」
という指示がよくあります。
つまり、「大きな数字や問題を、原因や要素が見えるところまで細かくしてみよう」ということです。
③ MECE(ミーシー)
MECEとは、
「漏れなく、ダブりなく」
という考え方です。
例えば「顧客」を、
・20代
・30代
・会社員
・経営者
と分類すると、年齢と職業という異なる軸が混ざっています。
MECEでは、同じ基準で分類することが基本です。
ただし、実務で「完全なMECE」を追い求める必要はありません。
大切なのは、
「重要なものが抜けていないか」「同じものを重複して数えていないか」
を意識することです。
④ 仮説(Hypothesis)
仮説とは、「現時点の情報から考えられる、仮の答え」です。
例えば、
「売上減少の原因は、競合商品の値下げではないか?」
と考える。
これが仮説です。
コンサルでは、最初からすべてを調べるのではなく、
「おそらくこうなのでは?」
という仮説を立ててから必要な情報を集めます。
そして、データを見て仮説を検証する。
仮説は、正解を当てるためのものではなく、答えに早く近づくための道具です。
⑤ ロジックツリー(Logic Tree)
ロジックツリーとは、物事を構造的に分解して整理する方法です。
例えば、
「なぜ売上が落ちているのか?」
という問題を、
・顧客数が減っている
・顧客単価が下がっている
と分解する。
さらに「顧客数」を「新規顧客」「既存顧客」に分けていく。
このように分解することで、問題の全体像や原因を整理しやすくなります。
「考えていることを、構造化して見えるようにする」
ロジックツリーは、そのための代表的な方法です。
⑥ アジェンダ(Agenda)
アジェンダは、一般的には「議題」「予定」という意味です。
ただ、コンサルでは単なる議題ではなく、「会議で何を議論し、何を決めるのか」まで含めて考えます。
「アジェンダを作っておいて」
と言われたら、
・何を議論するのか
・どの順番で議論するのか
・最後に何を決めるのか
を整理します。
大切なのは、「会議をすること」ではなく、「会議によって何を決めるか」です。
⑦ KPI
KPIとは、
Key Performance Indicator
の略で、「重要業績評価指標」と訳されます。
簡単に言えば、「目標達成に向けて追いかけるべき重要な数字」です。
例えば「売上を増やす」という目標に対して、
・商談数
・成約率
・顧客単価
などをKPIとして設定することがあります。
重要なのは、数字をたくさん設定することではありません。
「この数字を動かせば、最終的な成果につながる」
という指標を見極めることがポイントです。
⑧ ボトルネック(Bottleneck)
ボトルネックとは、「全体の成果を制限している最大の要因」です。
例えば、Webサイトへのアクセス数は十分なのに、売上が伸びない。
調べてみると、購入ページでの離脱率が非常に高い。
この場合、購入ページがボトルネックかもしれません。
すべてを改善するのではなく、
「今、一番成果を阻害しているのはどこか?」
を見つける。
これがボトルネックを探すということです。
⑨ ベンチマーク(Benchmark)
ベンチマークとは、比較対象となる企業や数値のことです。
例えば、自社の営業利益率が10%だったとします。
この数字だけでは、良いのか悪いのかわかりません。
そこで、
「競合は15%」
「業界平均は12%」
と比較する。
このように、比較することで自社の現在地を把握するのがベンチマークの考え方です。
⑩ レビュー(Review)
コンサルでいうレビューは、単なる誤字脱字のチェックではありません。
資料や分析に対して、
・論理がつながっているか
・結論が明確か
・根拠は十分か
・クライアントに伝わるか
などを確認します。
そのため、
「この資料、レビューお願いします」
と言われたら、
「間違いがないか確認する」だけではなく、「より良いアウトプットにするために改善する」
という意味だと考えるとよいでしょう。
おわりに
今回は、コンサルティングの現場でよく使われる10の用語を紹介しました。
こうして見ると、
「イシュー」「仮説」「ロジックツリー」「KPI」「ボトルネック」
など、どれも単なる「コンサルっぽい言葉」ではありません。
共通しているのは、
「物事を整理し、考え、意思決定するための言葉」
だということです。
だからこそ、コンサル転職を考えている方にとって大切なのは、用語を暗記することではありません。
例えば、
「今の仕事のイシューは何か?」
「この数字をブレイクダウンすると、何が見えてくるか?」
「今、一番のボトルネックは何か?」
と考えてみる。
こうした問いを普段の仕事の中で持つだけでも、コンサルで求められる「考え方」に少しずつ近づいていきます。
コンサル用語を知ることは、コンサルタントの仕事の進め方を知ること。
まずは今回紹介した10個の言葉から、実際の仕事で使ってみてはいかがでしょうか。
このコラムを書いたメンター
岡 優太Yuta Oka
(博報堂→Biz Architects)
大手広告代理店にて幅広い業種を担当し、プロジェクトマネージャーを歴任。2024年よりBiz Architectsに参画。コンサルだけにとどまらない、本質的な思考の「型」をお伝えします。
大手広告代理店にて幅広い業種を担当し、プロジェクトマネージャーを歴任。2024年よりBiz Architectsに参画。コンサルだけにとどまらない、本質的な思考の「型」をお伝えします。
