はじめに
こんにちは。講師の大江です。
私は総合商社で6年間働いた後、20代後半で外資系戦略コンサルティングファームに転職しました。
本日はその時に感じた「辛かったこと」を正直にお話ししたいと思います。
20代後半になると、商社では事業投資や社内調整の進め方も理解し、
部下に指示を出しながら仕事を進められるようになる時です。
それなりに、、、自分なりに一人前になったという自負もありました。
しかし、転職して最初の数か月で、その自信は見事に打ち砕かれたのです。

① 年下の上司に「で、イシューは何?」と聞かれる毎日
転職して間もない頃、あるプロジェクトの会議でのことです。
私は前職の経験を踏まえ、関係者へのヒアリング結果や市場データを整理し、入念に資料を作って会議に臨みました。
自分としては、十分に準備したつもりでした。
ところが、年下の上司から最初に投げかけられたのは、こんな質問でした。
「で、今日のイシューは何ですか?」
一瞬、言葉に詰まりました。
資料には市場規模も競合分析も、考えられる課題も書いてあります。
しかし、「結局、何を明らかにしたいのか」「その答えが経営判断にどうつながるのか」と問われると、
明確に答えられなかったのです。
商社では、関係者と調整し、情報を集め、着実に事業を前に進めることが重要でした。
一方、コンサルでは、限られた時間の中で解くべき問題を特定し、仮説を立て、結論を導くことが求められます。
しかも、プロジェクトが変われば、昨日まで考えていた課題は通用しません。
毎日、新しい経営課題に向き合う必要があります。
6年間の経験を積んできたはずなのに、仕事の進め方そのものを一から学び直す感覚でした。
②「誰かが教えてくれる」という期待は通用しない
総合商社では、新卒入社時に約1か月の研修があり、その後も1年間、指導社員が付いて仕事を教えてくれました。
組織として人を育てる仕組みが整っていたのです。
しかし、外資系コンサルでは、自分で学び、キャッチアップすることが大前提でした。
初めて扱う業界のプロジェクトにアサインされ、専門用語も業界構造も分かりません。
まず何を調べればよいのかさえ、手探りでした。
誰かが基本を教えてくれるだろうと期待していても、周囲は当然のように次の分析に進んでいきます。
待っているだけでは、自分だけが議論についていけなくなってしまいます。
結局、業務後に関連資料や過去のプロジェクト資料を読み込み、翌朝までに必要な知識を身に付けます。
翌日には、また別の課題が待っています。
ここで痛感したのは、分からないことに直面したとき、
どれだけ早く必要な情報を集め、自分で学び、仕事に使える状態にできるか。
そのスピード自体が、プロフェッショナルとして評価されるということでした。
③ 日本語でも難しい経営議論を、英語で戦う
さらに大きな壁となったのが英語でした。
グローバル案件では、英語話者が一人参加するだけで、会議全体が英語になることもあります。
ネイティブスピーカーがテンポよく議論を進める中、発言の意図を理解するだけで精いっぱいになります。
ようやく議論の流れをつかんだ頃には、話題が次の論点に移っています。
言いたいことはあるのに、適切な表現を考えている間に別の人が発言します。
結局、一度も発言できずに会議が終わってしまうこともありました。
悔しかったのは、英語ができないこと以上に、自分が貢献できるはずの場面で貢献できなかったことです。
しかも、扱っているのは高度な経営課題です。
英語を理解しながら論理を組み立て、自分の意見を伝え、相手の反論に対応しなければなりません。
会議前の準備にも会議後のフォローアップにも、想像以上の時間がかかりました。
それでも「転職して良かった」と断言でき、もう一度入りたいとも思う
ここまで読むと、外資系戦略コンサルには厳しく、冷たい環境という印象を持つかもしれません。
実際、求められる水準は高く、仕事についていくのは簡単ではありませんでした。
しかし、今振り返ると、必死に食らいつき、成長しようと努力している人を、周囲はきちんとサポートしてくれました。
分からないことを質問すれば教えてくれますし、困難な局面では一緒に解決策を考えてくれます。
もちろん個人差や職場による違いはありますが、想像していた以上に温かい環境だったと感じています。
そして、事業会社からコンサルに転職し、最初に挫折を味わうことは、決して珍しいことではありません。
私は、転職者の9割近くが一度は同じような壁にぶつかるのではないかと思っています。
それは、本人の能力が低いからではありません。
求められる仕事の進め方も、成果を出すための思考法も、大きく異なるからです。
だからこそ、未知の問題を解決する力、不足する知識やスキルを自ら補う力、
そして海外の関係者とも協働してビジネスを動かす力を身に付けることには、大きな価値があります。
コンサル転職は、入社することがゴールではありません。
入社後、いかに早く成長し、プロフェッショナルとして活躍できるようになるかが本当の勝負なのです。
私はこの経験を踏まえ、Biz Academyを通じて、コンサル転職を目指す方々に面接対策だけでなく、
コンサルタントとして必要なスキルや考え方も伝えていきたいと考えています。
転職後に直面する壁をあらかじめ理解し、必要な準備をしておけば、入社後の成長スピードは大きく変わるはずです。
かつての私と同じように、転職後に苦労する人を一人でも減らしたい。
そして、一日でも早くコンサルタントとして活躍できる人を増やしていきたい。
それが、私がBiz Academyを通じて実現したいことです。
このコラムを書いたメンター
大江 真揮人Makito Ohe
(伊藤忠商事→マッキンゼー)
大手総合商社にて金属分野におけるトレーディングビジネスに営業職として従事。その後、外資戦略コンサルティングファームにて企業価値向上の戦略策定から実行支援を多数実施。自身の経験を踏まえ、事業会社出身のコンサルタントがDay0から活躍するための思考法を、余すことなくお伝えします。
大手総合商社にて金属分野におけるトレーディングビジネスに営業職として従事。その後、外資戦略コンサルティングファームにて企業価値向上の戦略策定から実行支援を多数実施。自身の経験を踏まえ、事業会社出身のコンサルタントがDay0から活躍するための思考法を、余すことなくお伝えします。
